炭酸カルシウムについて


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はじめに

工業用粉体材料としての炭酸カルシウムは、石灰石、貝殻、白亜などCaCOを主成分とする天然原料を機械的に粉砕分級した重質炭酸カルシウム、胡粉、チョークなど古くから利用されています。

最近の重質炭酸カルシウムは、粉砕分級技術の進歩により、平均粒子径が1μm以下の製品も生産できるようになりました。
重質炭酸カルシウムの主な用途はプラスチック、ゴム、塗料、製紙が主体で、他に食品、医薬品、高級ガラス原料等に使用されています。

一方、化学的に製造される沈降炭酸カルシウムは、軽微性または軽質炭酸カルシウムと呼ばれ、重質炭酸カルシウムと区別されています。
沈降炭酸カルシウムは、更に一次粒子の大きさから膠質品(コロイド品、セミコロイド品)及び普通品に分類されます。
分類の基準は、一次粒子のサイズで長径1μm以上の紡錘状、又は柱状粒子を示すものを普通品、または一般的に軽炭と略して呼ばれます。斜方晶型の立方体結晶をもつ微細品を辺長0.1μmを境に、コロイド品、セミコロイド品と称されています。

沈降炭酸カルシウムの製法は、炭酸ガス反応法、及び可溶性塩反応法があり、国内では明治42〜43年に石灰石焼成炉の炉ガスを再利用した炭酸ガス反応法が見出され現在に至っています。
可溶性塩反応法は、欧州、米国等で盛んに行われているが、国内ではほとんど行われていません。
沈降炭酸カルシウムの用途は、重質炭酸カルシウムの用途の他、インキ、接着剤(シーラント)、歯磨き粉等、機能性を必要とする分野で使用されています。

炭酸カルシウムの種類

炭酸カルシウムは、単に石灰と呼ばれたり、沈降性炭酸カルシウムは合成炭酸カルシウム、タンカル(炭カル)、軽タン(軽炭)、軽カルなど、重質炭酸カルシ ウムは重カル、重タン、石粉などと呼ばれ、現在工業的にも様々な分野で使われています。ここでは原料、製造方法、一次粒子の大きさにより、いくつかの種類 に分類します。

炭酸カルシウムの種類
分類原料製法
胡粉貝殻乾式または湿式粉砕
チョーク白亜
重質炭酸カルシウム糖晶質石灰石
沈降炭酸カルシウム緻密質石灰石炭酸ガス反応法
沈降炭酸カルシウム副産物可溶性塩反応法

上の表の沈降炭酸カルシウムは、さらに下表の3種類に分類できます。

沈降炭酸カルシウムの分類
分類辺長サイズ呼称
軽質または軽微性炭カル1.0μm以上軽炭
半膠質炭カル0.1μm以上セミコロイド
膠質炭カル0.1μm以下コロイド

炭酸カルシウムの製法

炭酸カルシウムの種類の分類方法に製法による分類がありますが、それは大きく二つに分けられます。

炭酸カルシウムの製法
分類製法
重質炭酸カルシウム
(天然)
1 乾式粉砕法
2 湿式粉砕法
沈降炭酸カルシウム
(合成)
1 石灰乳+炭酸ガス反応法
CaCO3→CaO+CO2(焼成)
CaO+H2O→Ca(OH)2(消化)
Ca(OH)2+CO2→CaCO3+H2O(炭酸化)
2 塩化カルシウム+ソーダ灰反応法
CaCl2+Na2CO3→CaCO3+2NaCl
3 石灰乳+ソーダ灰反応法
Ca(OH)2+Na2CO3→CaCO3+2NaOH

炭酸ガス反応法
石灰石を石灰焼成炉で無煙炭又はコークスとともに焼成して、生石灰とします。その生石灰に水を加えてできた石灰乳に、石灰石を焼成した時に発生した炭酸ガスを反応させ、均一な粒子の沈降炭酸カルシウムを生成させる方法です。
これらの沈降炭酸カルシウムは、その生成時の反応条件を調整することにより様々な粒子サイズ、形態のものが得られる。
粒子径が0.02〜0.10μmの微細品を膠質炭酸カルシウムと言い、そのまま粉剤として利用されるが、多くは有機物(脂肪酸塩、樹脂酸塩等)で処理して市販されています。

炭酸カルシウムの用途と要求物性

製紙用

製紙工業において沈降炭酸カルシウムは、填料として用いられる場合と塗工顔料として用いられる場合があります。
中性紙化が飛躍的に進展したことに伴い、紙質の向上、排水負荷の減少、エネルギー消費の減少、生産性の向上等を期待され、たくさんの沈降炭酸カルシウムが使用されています。

填料用途

多くの中性紙分野では、白色度の向上、製品の低密度化、不透明度向上などを目的に沈降炭酸カルシウムが使用されています。

塗工用

塗工紙用、塗被顔料として用いられる沈降炭酸カルシウムは、塗工紙の光学的性質及び印刷適性向上の面から、粒子径0.1〜0.3μmのものが望ましく、粒子径の均一な立方体炭酸カルシウムが多量に使用されています。
塗工用の主な顔料は、カオリンであるが、沈降炭酸カルシウムはカオリンの欠点を補い、光学的性質、印刷適正を向上する目的で20〜40%併用されます。

塗料用

塗料工業において沈降炭酸カルシウム(主に半膠質、膠質品)は、体質顔料として多量に使われています。
炭酸カルシウムのうち、重質炭酸カルシウムは、安価でコスト的に有利なことから多量に使われており、下塗り、中塗り用として用いられる。
沈降炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウムに比べ、粒子の細かさ、表面(活性)特性の為、機能的フィラーとして用いられています。沈降炭酸カルシウムは、 各種塗料用樹脂および使用目的にあった粒子サイズや形を選定し、その表面を処理することにより、機能性を付与することができます。

インキ用

一般色材用途で体質顔料と呼ばれるものには、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、クレー等があるが、印刷インキ用に用いられる体質顔料とは、濃色の顔料やインキを希釈するときに用いる、無色または白色の顔料のことを言います
印刷インキ用の体質顔料には極微小粒子の表面を処理した炭酸カルシウムが最も多く使われています。

ゴム、プラスチック用

炭酸カルシウムは、ゴム、プラスチックに、製品の容積を増しコストを引き下げたり、加工性を容易にしたりするために配合されます。また、特殊用途向けの機能性を付与する為に、炭酸カルシウムが配合されます。
炭酸カルシウムの中でも重質炭酸カルシウムが多く使用されていますが、より高度な機能性の付与に関しては、沈降炭酸カルシウムが使われます。

接着剤、シーラント用

ゴム、プラスチックと同じような目的で使用されるが、よりシビアーな品質が要求されます。

その他の用途

国内で唯一、自給できる工業原料である沈降炭酸カルシウムは安価であり、白色度、安全性、粉体としての設計の柔軟性の面から、各業界より期待されています。
形状、サイズ、無機物や有機物による表面改質等の組み合わせによって、更に機能性を付加したフィラーの提供が考えられ、新たな市場への進出も期待できます。


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